◆加害者への請求権、5年で計48億円
給付金制度では、各都道府県警が加害者側の経済力などを調べて調書を作り、各都道府県の公安委員会が支給の可否を判断。警察庁が支給業務を行い、国が加害者への損害賠償請求権(求償権)を取得する。会計検査院
会計検査院によると、警察庁が2018~2022年度に支給した給付金は1838件、計48億7300万円。このうち、加害者の心神喪失による不起訴などを除いた全件の求償権が国にあったが、同庁は回収すべき債権金額などを管理簿に全く記載していなかった。◆加害者に告知しないまま「時効」は9億円
そのため、警察庁は加害者への納入告知をしておらず、中には、民法上の損害賠償請求権の消滅時効(現在は5年間)を迎えて加害者側が時効を主張できる状態となっているものもあった。検査院が実地検査した17都県警では、国に求償権のないものも含めて427件(計9億5857万円)がこれに該当した。 一方、各都県警の調書では加害者に経済力を認めているものの、警察庁が「本人に損害賠償の意思がない」と判断するなど、調査結果を十分に活用していないものも78件(計2億3703万円)あった。 検査院は「債権管理法の理解が十分でない」などと指摘し、債権金額を管理簿に記載して加害者へ納入告知することなどを要求。警察庁は「指摘されたことについては誠に遺憾。債権管理事務を適切に行うことを関係各所に指示するとともに、当該取り扱いについて徹底する」とコメントした。(高田みのり) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。