<この人 サミール・ラカーニさん 32歳>

カンボジアで、再加工した石けんを子どもたちに渡すサミール・ラカーニさん(右)=アース・カンパニー提供

 製造過程で廃棄されるせっけんの端材や規格外品を工場から回収し、リサイクルして難民に届けるNPO「EcoーSoap Bank」を2015年に創設した。  活動のきっかけは大学時代に訪れたカンボジアの村で目にした光景だった。母親が赤ちゃんの体を刺激が強い衣類用洗剤で洗っていた。固形せっけんは高価で買えないからだ。一方、ホテルでは客が使ったせっけんを捨てていた。

◆ロヒンギャ難民のキャンプなどに配布

 現在、カンボジア、タンザニアなど5カ国に拠点を置く。貧困層の女性を雇い、米国の工場から回収したせっけんの端材などを再加工。国際機関を通じて計約6500万個を難民に配布した。日本人が創設したNGO「アース・カンパニー」の支援を受け、バングラデシュにあるロヒンギャ難民のキャンプにも届けた。

カンボジアの拠点で、地元の女性らと一緒に写真を撮るサミール・ラカーニさん(後列中央の眼鏡の男性)=アース・カンパニー提供

 自身は米国生まれだが、ルーツはインドだ。父母らはアフリカなどを経て米国に渡った難民だった。家族の歴史が難民支援活動の背景にある。  「不衛生な環境下の難民にとって、せっけんは命を守る最も重要な製品だ」と力を込める。「廃棄せっけんが100%リサイクルされるまで、歩みを止めない」(北川成史) 

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