宮城県石巻市発注の下水道工事を巡り、市職員2人が業者に情報を漏らしたとして逮捕された官製談合事件があり、県警が市内の別の業者にも家宅捜索に入っていたことが、関係者への取材でわかった。

 県警が官製談合防止法違反などの疑いで逮捕したのは、市下水道建設課の技術課長補佐、星洋一容疑者(50)と技術主幹、寺内友和容疑者(46)。昨年2月1日ごろ、市内の土木工事会社「遠藤興業」社員の遠藤光弥容疑者(67)=公契約関係競売等妨害で逮捕=に秘密事項である工事の最低制限価格を算出する基準などを記した設計書を交付。同社に最低制限価格に近い価格で入札させて工事を落札させた疑いがある。設計書は直接、手渡していたという。

 県警は10日夜に市役所などを家宅捜索したが、市内の別の業者も捜索。この業者は朝日新聞の取材に「取材はお断りしている」と答えた。

 市の入札結果によると、この業者も複数の工事で最低制限価格に近い価格で落札した事例があり、県警は関連を調べているとみられる。県警は「捜査についてはコメントしない」としている。

 斎藤正美市長は11日、臨時の会見で「ご迷惑とご心配をおかけし、心よりおわび申し上げる」と述べた。市によると、星、寺内両容疑者は下水道や雨水排出の工事を担当し、上司、部下の関係だった。設計書は担当課長が決裁後に封印し、入札当日まで管財課で鍵のかかったロッカーで保管するが、2人は決裁の過程で内容を確認できる立場にあったという。(阿部育子)

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