日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞の受賞決定の一報に、核廃絶に取り組む若い世代からも喜びの声が相次いだ。被爆者の高齢化が進む中、核の惨禍を語り継ぐ決意を新たにした。
「若い世代ができることを自分に問いかけて、今後も活動していきたい」。核兵器廃絶を訴える活動を続ける「高校生平和大使」の一人、沖本晃朔さん(16)は11日夜、広島市役所で日本被団協の箕牧智之代表委員と記者会見に臨み、思いを語った。「核兵器なき世界への思いは伝播していく。世間を盛り上げていけることを実感できた」
同じく高校生平和大使として活動する長崎市の高校2年、大原悠佳さん(17)は「私たちが活動できるのは、つらい思いをしながら平和を訴えてきた被爆者の方々のおかげ。受賞はとてもうれしい」と感極まった。
祖父母が長崎市で被爆し、「日常の平和がいかに大切か」を説く姿を見聞きし育った。大使として今年8月、軍縮会議が開かれていたスイスの国連欧州本部を訪れ、全国から集まった9万超の反核署名の目録などを提出した。
広島、長崎への原爆投下から79年。被爆者は高齢化しており「その思いを自分たちの言葉で伝えていかなければいけない」と語った。
広島市などは2024年度から若者向けの研修会「ピースアカデミー」を始めた。研修に参加した広島大学の延藤成明さん(25)は「被爆の実相を伝え、いかに平和を実現するかを考えていきたい」と話した。広島大大学院の梶川琴音さん(24)は「重要なのは一人ひとりが平和が何かを考えることだ」と力を込めた。
「今回の受賞が核軍縮への追い風になる」。核廃絶に取り組む若者団体「かたわら」(横浜市)の高橋悠太代表理事(24)は平和学習をきっかけに、中学時代から核の惨禍を訴え続けてきた。「注目が集まる今こそ、語り継いだ記憶を積極的に発信していきたい」と話した。
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