就職先の内定を得たのに出入国在留管理庁(入管庁)が在留資格を認めず入社できなかった日本生まれの外国籍男性(22)=神奈川県在住=について、東京出入国在留管理局(東京入管)は9日、働くことができる在留特別許可(在特)を与えた。不許可としてきた入管庁の対応は、政府が昨年発表した方針に反するとして支援者らが批判していた。

◆両親は強制送還・一家離散の可能性が残る

 男性は、一定の専門知識を持った人を対象とする在留資格を得た。東京入管の横浜支局で在留カードを受け取り、「苦しかったが、これでようやく働ける」と語った。昨年8月に就職が内定した県内の不動産会社は、男性の入社を待ってくれているという。

在留特別許可が認められ在留カードが与えられた男性(中央)と、在留資格が認められなかった父(左)と母(右)=9日、横浜市内の東京入管横浜支局の前で(一部画像処理)

 ただ、男性の両親は在特が認められず、それぞれの母国に強制送還され、家族が離散する可能性が残る。  男性の父は中東出身、母は南米出身で、オーバーステイ(超過滞在)だった。このため、日本で生まれた男性も在留資格がないまま、今年4月には県内の大学を卒業。働けない状態が続いていた。

男性への採用内定通知=一部画像処理

 入管庁は昨年8月、日本生まれの小中高生には特例で在留許可を与える方針を公表。当時の斎藤健法相は、成人した場合も「在特を基本的に認める」と表明した。しかし、入管庁は男性の在特を許可せず、支援者などから「公表方針から逸脱している」との批判が高まっていた。  このため、小泉龍司前法相は9月に、入管庁の審査部門に「ていねいな判断」の徹底を指示していた。入管庁は「個別の例にコメントできない」としている。(池尾伸一) 

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