報道陣の取材に応じる静岡県警の津田隆好本部長(右端)=9日午前、静岡県警本部

 1966年の静岡県一家4人殺害事件を巡る袴田巌さん(88)の再審で、無罪とした静岡地裁判決に対し、静岡地検は9日、上訴権を放棄する手続きを取る。無罪が確定する。袴田さんが半世紀以上にわたり冤罪を訴え続けた闘いに終止符が打たれ、死刑囚の身分が解かれる。  静岡県警の津田隆好本部長は同日午前、報道陣の取材に応じ、「袴田さんが長きにわたって法的地位が不安定な状況に置かれてきたことについて申し訳なく思う」とし、袴田さんへの直接の謝罪は「お伝えしたいと思うが、相談した上で考えたい」と話した。事件が解決していないことについては「最終的に犯人が分からないということになった。大変遺憾、残念」と述べた。  畝本直美検事総長が8日、控訴しないと表明。談話で「結果として相当な長期間、法的地位が不安定な状況に置かれた。申し訳なく思う」と謝罪した。最高検は再審請求手続きが長期間に及んだことについて検証する方針。  袴田さんは8日も、日課の散歩に出かけるなどいつもの生活を送った。


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