◆「不安定な状況継続、相当ではない」
戦後、死刑事件の再審無罪判決は89年の島田事件に続き5件目で、過去4件は検察側が控訴せず確定していた。死刑確定から再審無罪判決まで44年かかったのは、5件のうちで最長。袴田巌さん(左)と姉ひで子さん=9月29日、静岡市葵区の静岡労政会館で
9月26日の再審判決では、袴田さんの犯行時の着衣とされた「5点の衣類」や自白調書など、三つの証拠を捜査機関による捏造(ねつぞう)と認定していた。 8日に発表された検事総長談話では「判決はその理由に多くの問題を含む到底承服できないもので、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容」と指摘しつつ「袴田さんが結果として相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況に置かれたことにも思いを致し、検察が控訴し、その状況が継続することは相当ではないと判断した」と説明した。 再審公判は昨年10月に始まり、今年5月に結審。検察側は有罪を主張し、死刑を求刑していた。静岡地裁の再審無罪判決後、袴田さんの弁護団は検察側に控訴しないよう申し入れていた。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。