障害支援区分の認定手続きで、偽造された医師意見書を使ったとして山梨県大月市が停職3カ月の懲戒処分にした市職員について、県東部地域公平委員会が処分を取り消す裁決をしていたことが市への取材で分かった。
市によると、処分されたのは市福祉介護課主査だった40代職員。2020~21年度、偽造された医師意見書計46件を障害支援区分の認定手続きで使ったとして、22年1月に処分を受けた。
職員は「偽造された書類という認識がなかった」と主張し、偽造自体も否定していたが、偽造書類がこの職員の業務用パソコンから、この職員のログイン時にプリントアウトされており、偽造された文書を事務手続きで使ったことを理由に懲戒処分とした。
だが、公平委員会は裁決で、市が提出した証拠書類ではこの職員が偽造したかどうかはっきりせず「第三者の介在の可能性を完全に排除することができなかった」と指摘したという。
市は、処分理由で職員が偽造したかは触れていないといい「公平委員会の裁決は、市の処分理由とずれている」として、弁護士と今後の対応を協議している。
この職員は、22年3月に公平委員会に審査を請求し、23年12月に懲戒処分取り消しの裁決が出た。市は不服として再審請求したが、今年7月に棄却された。職員は今年9月、市に停職3カ月分の給与支払いを求めている。
県東部地域公平委員会は大月市やその周辺の自治体でつくる組織で、懲戒処分などを受けた地方公務員から請求があった場合、処分が適正だったか審査する。住民から選ばれた公平委員3人が、法律の専門家の助言を元に裁決をする。同公平委員会は「大月市に聞いてほしい」として取材に応じなかった。(棟形祐水)
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