◆爆発約2分前に旅客機が走行
陸上自衛隊によると、不発弾は戦時中の250キロ爆弾。爆発した原因は不明だが直径約7メートル、深さ約1メートルの陥没が確認された。「今回爆発が起こった箇所に飛行機が駐機、通過していればそれなりの被害が発生したのでは」。国交省宮崎空港事務所の加藤浩介空港長は2日の会見でそう認め、利用者に謝罪した。 宮崎空港は1943年に旧海軍の飛行基地として建設され54年に開港した。戦中には米軍に狙われ空襲を受けており、不発弾が残っていたとみられる。爆発が起きた誘導路は78年度に造られた。担当者は「建設時に不発弾などの調査は行っているはずだ。ただ当時の資料が残っておらず臆測でしかない」と話した。 同空港では2011年に2発、21年に1発の不発弾が確認されている。不発弾がまだ埋まっている可能性は否定できないが、陥没箇所の埋め戻しをした上で3日に運航が再開された。。担当者は「公共交通を維持する必要性と安全性のバランスの中で判断した」と説明。今後の調査については「国交省などと相談する。戦時中に爆撃を受けた空港は他にもあり、宮崎空港だけの問題でもないのでは」と話した。◆不発弾が見つかっているのは旧軍用飛行場
那覇市の工事現場で見つかった不発弾(同市提供)=2023年3月、那覇市で
実際、軍用として使われた他の空港でも不発弾が見つかっている。2012年には、旧陸軍の飛行場だった仙台空港の用地造成工事の掘削作業中に不発弾が発見された。20年には、旧海軍が使った那覇空港の滑走路の拡張工事で不発弾が見つかった。宮崎空港で爆発するリスクが顕在化した形だが、国交省の担当者は同日午後、他の空港についても「何らかの対応を、実施するかどうかを含め検討している」と述べるにとどめた。 「犠牲者が出てもおかしくない事態。恐れていたことが現実になった」と話すのは、不発弾の問題に詳しい名桜大の大城渡教授(公法学)だ。これまでも不発弾が埋まっている可能性がある空港敷地内の全面的な調査の必要性を訴えてきた。◆「戦後80年、不発弾爆発の危険性はなくなっていない」
大城教授は「戦後80年近くたっても、地中の状況によっては不発弾は腐食せず殺傷能力を残している。爆発の危険性はなくなっていない」と指摘。「磁気探査の精度は向上している。過去に調査をやっていたとしても、見つからなかった不発弾が今回爆発したことも踏まえ、国の責任で調査すべきだ」と訴えた。 航空アナリストの杉浦一機さんは「旧日本軍の飛行場を活用して造られた空港は多い。まとまった敷地をそのまま使えるし、騒音などへの懸念の面で、新設と比べて近隣住民からの理解を得やすいためだ」と説明。「宮崎空港も穴を埋め戻しただけで、本当に安全性は確保されたのか」と国交省の初期対応を疑問視する。 飛行機は利用者の増加に伴って、機体は大型化し、空港に離着陸する頻度も増えてきたといい「地面への圧力は高まっている。現状に合った新しい基準で調査をやり直せばいいのではないか」と話した。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。