秋の味覚の代表格ともいえるキノコのシーズンが本格化するのを前に、専門機関が「毒キノコ」への警戒を呼びかけている。公園や道端など身近な場所にも生えていることから誤って食べるリスクがあり、場合によっては死に至るケースもあるという。

 6月、堺市に住む50代男性が市内の公園に生えていたキノコを持ち帰って食べたところ、2時間ほどで嘔吐(おうと)や腹痛などの症状を訴え、救急搬送された。男性は「キノコは自宅に飾って観賞していたが、食べてしまった」と話したといい、翌日に退院した。

 男性が食べたとみられるのは「オオシロカラカサタケ」。白いまんじゅうのような形をしていて、畑や公園などの芝生に生えている。食用の「カラカサタケ」や「シロフクロタケ」とも似ているため、注意が必要だ。大阪市内でも食中毒になった事例が2008年、16年、19年に確認されている。

 地方独立行政法人「大阪健康安全基盤研究所」の野村千枝主任研究員は、「野生のキノコを食べることは大ばくちだ」と警鐘を鳴らす。

 日本全国で5千~6千種あると推定されているが、そのうち食用約300種の中でもおいしいとされるキノコはわずか100種ほど。発生時期や場所によって形態が異なることがあり、毒キノコに簡単な見分け方はない。

 厚生労働省などによると、昨年に続いて今年も野生のキノコを食べて1人が亡くなっている。解明されていない「キノコ毒」も多く、野村さんは「野生でおいしいキノコはたった数%で、残りは危険なキノコばかり。ハイリスク・ローリターンだ」と注意を呼びかける。(西晃奈)

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