悪質なホストクラブの問題で、警察庁は2日、有識者らによる対策検討会の議論の中間報告をまとめた。高額な売掛金(ツケ)や取り立てへの規制のあり方をこれまで議論。それを踏まえ、警察庁は、料金を偽るなどして不当にツケを負わせることや、女性を惑わして性風俗店で働くことを唆すといった行為について、風俗営業法の順守事項や禁止行為に加える案を検討する。

 ホストクラブは風営法上、接待をする飲食店にあたる。これらの風俗営業では、営業時間の制限や料金表示義務などの順守事項と、客引きや18歳未満による接待などの禁止行為が定められている。順守事項に違反すると指示処分や営業停止命令の対象に、禁止行為に違反すると摘発などの対象になる。

 検討会では、規制対象をホストクラブに限定するのは困難で、悪質なホストクラブに特有の悪質行為を風営法で規制すべきだとの考えのもと議論。警察庁は、料金に関する虚偽説明や、恋愛感情に乗じて女性を依存させる行為を規制対象にする案を検討している。「初回は料金はかからない」「持っている金でいい」などと偽ったり、「付き合いたければシャンパンを入れて」などと持ちかけたりする行為などがあたるという。

 料金の取り立てでは、女性を困惑、畏怖(いふ)させたり、性風俗店で働くよう唆したりする行為を規制できないか検討。「実家に取りに行く」と脅したり、「近くで立ちんぼをすれば、また店に来られる」と売春を求めたりする行為が想定されるという。

 また、性風俗店が、女性を紹介したスカウトやホストに、女性による売り上げの一部を支払う「スカウトバック」と呼ばれる仕組みがあるという。現在はスカウトについては職業安定法違反(有害業務のあっせん)などでの摘発が可能だが、性風俗店側は対象にならない。このため、性風俗店側に対しこうした行為を新たに禁止することも検討していく。

 検討会は、社交飲食業の組合の幹部や法律家らが委員となり、7月以降、3回開催。被害女性の支援団体などからも聞き取りをしてきた。今後議論を続け、年内にも最終報告をまとめる。

 警察庁のまとめでは、悪質ホストクラブに絡み全国の警察が昨年1月から今年6月までに、売春の強要や無許可営業などの容疑で83の事件、203人を摘発した。内訳は、ホスト90人、店長や従業員など64人、性風俗店関係者28人、スカウト11人、客引き10人。(編集委員・吉田伸八)

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