旧優生保護法をめぐる裁判で、政府は、和解に基づく慰謝料の支払いにとどまらず、問題の全面的な解決を目指すとして、9月30日に所管する加藤こども政策担当大臣が、原告らとの間で基本合意書を交わしました。
この中では、旧優生保護法に基づいて、国が不妊や中絶の手術を強制してきた過ちと責任を認め、深い謝罪の意を示しています。
そのうえで、
▽超党派の議員連盟が取りまとめた法案の成立後、被害者への補償が着実に進むよう、相談窓口の整備など、あらゆる施策を進めるとしています。
また、
▽謝罪広告をはじめ、被害者の名誉回復を図る措置を講じるのに加え
▽再発防止のために第三者機関による徹底的な調査・検証を行うことや
▽障害者への差別や偏見の根絶に向けた対策の実施も盛り込まれました。
さらに、
▽一連の対応にあたって、関係府省庁と原告団などとの継続的で定期的な協議の場を設けるとしています。
加藤大臣は、重ねて謝罪の意を示しつつ、「すべての国民が、疾病や障害の有無により、分け隔てられることなく共生する社会の実現に向け、全力を尽くしていく」と述べました。
原告団の共同代表「差別のない社会を作る1歩に」
原告団の共同代表で、宮城県に住む飯塚淳子さん(仮名)は「国がもっと早く問題に向き合っていれば、被害にあわずに済んだ命がないかと思うと、残念でなりません。それでも、きょうの基本合意は『優生思想』や障害者への差別のない社会を作る1歩になります。今後の調査や取り組みは、被害者や障害者の声をたくさん聴き、国が主導していってもらいたいです」などと述べました。
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