石川県は29日、能登地方の記録的豪雨で床上浸水した能登半島地震の仮設住宅2団地の住民を対象とした説明会を輪島市で開き、仮設住宅を復旧させた上で、年内をめどに再入居が可能になるとの見通しを示した。
2団地は洪水浸水想定区域に立地しているが、県は、別地点での再整備はしない方針を示した。住民からは、今後もリスクがあるとして対策を求める声が上がった。
説明会は輪島市の宅田町第2団地、宅田町第3団地の計153戸の住民向けに、非公開で実施。県や参加者によると、床や壁の取り外しや、泥を落とす作業、消毒に1棟当たり約40日かかり、全棟の復旧が完了した後で、一斉に再入居が可能となると説明した。
床の高さを上げるなどの浸水対策措置を取らないか尋ねた住民に、県側が「莫大な日数がかかる」として否定する一幕もあったという。
馳浩知事は県庁で記者団の取材に「直せば同じ場所で住める。ハードとソフト両面の安全対策が必要だ」と述べ、避難誘導などを徹底する考えを強調した。
県方針について、説明会に参加した住民男性は「あんな怖い所に戻るんか、とみんな熱くなっていた。担当者は『上司に伝えます』しか言わないから、らちが明かない」と憤った。
32戸が床上浸水した輪島市門前町の仮設住宅浦上第1団地では、復旧工事に関する資料が届いた。入居者からは「工事中はどこで暮らせばよいのか」などと困惑の声が上がった。農家の男性は、身の回りの片付けに必死だといい「復旧工事のことを考える余裕がない」と語った。
県によると、記録的豪雨で、輪島市と珠洲市の6カ所の仮設住宅団地計209戸で床上浸水の被害が発生。県はこの日、珠洲市で被害が確認された上戸町第2団地の住民向けにも説明会を実施した。残る3カ所も順次説明会を開く。〔共同〕
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