中国に返還される上野動物園(東京都台東区)のジャイアントパンダ、雄リーリーと雌シンシン=いずれも19歳=が28日、園内での最終観覧となった。2011年から13年にわたり人々を楽しませ、3頭の子を育てたつがいを最後に一目見ようと、開園前から多くのファンが詰めかけ、別れを惜しんだ。(中山高志)

最終観覧日を迎え、多くの来園者の前に姿を見せたジャイアントパンダのリーリー(左)とシンシン=28日、東京都台東区の上野動物園で(市川和宏撮影)

 園によると、開園約1時間前の午前8時20分には2000人に達し、観覧受け付けを締め切った。事前抽選を含め約2200人が見納めた。2頭は高齢で高血圧の治療などで返還が決まり、29日未明に園を出発する予定。

◆「楽しませてくれてありがとう」

 21年に双子のシャオシャオ、レイレイが生まれた時からファンという荒川区の主婦大屋裕子さん(42)は午前8時ごろから並び、6時間半後に見学。「起きているところ」をカメラに収めた。自身も今年男の子を出産したといい「人間のようなしぐさで緩い感じがかわいい。『楽しませてくれてありがとう』と伝えたい」と話した。

◆コロナ禍で双子を出産

 午前6時前から並んだ板橋区のパート鈴木絵美さん(58)は「リーリーは眠そうだったけど、入ったら顔を上げてくれた。シンシンは餌をもぐもぐ食べていた」と様子を話し「『元気になって中国の庭を走り回って』と心の中で伝えた」と思いを語った。

最終観覧日を迎えたジャイアントパンダのリーリー(左)とシンシンを見に訪れた人たち=28日、東京都台東区の上野動物園で(市川和宏撮影)

 冨田恭正副園長(59)は、2頭が東日本大震災の直前に来日し、新型コロナウイルス禍の中で双子を出産したことに触れ「暗い雰囲気が漂う中、光をともしてくれる存在だった」とたたえた。 

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