能登半島北部の大雨災害は、28日で発生から1週間となった。石川県輪島、珠洲両市などでは一部で断水が続いており、衛生環境の悪化による災害関連死が懸念される。避難所での生活を余儀なくされている被災者も多く、県などは旅館やホテルなどへの2次避難を急ぐ。

県などによると、27日時点で死者は11人。行方不明者や連絡が取れない安否不明者は合わせて6人に上り、消防や県警などによる捜索が続く。土砂崩れなどに伴う孤立集落はほぼ解消された一方、ライフラインの復旧が課題で、約4250世帯が断水のまま。両市と能登町で27カ所の避難所に計456人が身を寄せている。

乾いた泥による粉じんの呼吸器への影響や感染症被害、度重なる災害による心理面のダメージへの懸念が高まっており、県などは2次避難を希望するか意向調査を実施している。早ければ来週初めに避難住民の移送を開始する。

元日の地震では、県南部の加賀地方などに住民を広域避難させたが、今回は長距離の移動が心身にもたらす負担を考慮。受け入れ先をできるだけ近郊の宿泊施設で調整している。

現地で災害医療を担う稲田真治・日本赤十字社名古屋第二病院救命救急センター長は避難所の環境について「土足を避け、衛生状態の良い状況で食事を取るなど生活環境全般の整備が必要」と指摘する。2次避難に関してもコミュニティーのつながりが脆弱化するリスクがあるとして「住民の意向をよく確認することが大事だ」と語った。

大雨で自宅に入った泥を片付ける住民ら=28日午前、石川県輪島市

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