富山県南砺市と岐阜県白川村が共同で、世界文化遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」の魅力を伝える専用サイト「デジタルヘリテージセンター」を開設した。インターネット上の仮想空間「メタバース」で集落を散策できるなど、疑似的な博物館体験が楽しめる。(共同通信=金森純一郎)
南砺市と白川村は隣接し、「合掌造り集落」は1995年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された。毎年計約300万人が訪れる観光地だが、歴史や価値を体系的に伝える展示施設が整備されていないことが課題となっていた。
新たな施設を建設するには人件費や維持費など多額の費用がかかる。そこで、白川村の提案で両自治体が共同でネット上にコンテンツを設けることにした。国からの補助金2千万円を元手に、今年5月に開設した。
集落の歴史的な成り立ちや合掌造りの特徴を、写真や図解を用いて分かりやすく解説する。また、五箇山の相倉、菅沼と、白川郷の荻町の3集落を上空から見渡せる「パノラマスカイビュー」もある。
目玉の一つメタバースでは、架空の合掌造り集落の原風景を再現。利用者はアバター(分身)を作り、散策したり、ユーザー同士で音声通話、チャットで交流したりすることもできる。メタバース内でのガイドツアーや講演会の開催も検討しているという。
観光需要の促進や文化の保存に向けて、両自治体は今後も内容を充実させ、他の観光サイトとの連携も模索する。南砺市文化・世界遺産課の浅野克典(あさの・かつのり)主査は「実際に集落に足を運び、さらにセンターにも目を通してもらうことで、より多くの人に遺産の価値を知ってほしい」と話している。
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