真鶴町の前町長の松本一彦被告(58)は町の職員だった4年前の2月、自身が立候補する町長選挙の前に、書庫に侵入して保管されていた選挙人名簿を不正に持ち出したとして、窃盗と建造物侵入の罪に問われていました。

26日の判決で、横浜地方裁判所の吉井隆平裁判官は「選挙活動で選挙人名簿を利用しようと持ち出したもので、町職員としての知識や立場などを利用した反規範的な犯行で刑事責任は軽いとはいえない」などと指摘しました。

そのうえで「住民の解職請求により失職するなど社会的制裁も受けている」と述べ、前町長に懲役10か月、執行猶予2年の有罪判決を言い渡しました。

判決が言い渡された際、前町長はまっすぐ前を見て聞いていました。

また、共犯として起訴され一緒に審理が行われていた町の選挙管理委員会の当時の幹部、尾森正被告(60)に対しても懲役8か月、執行猶予2年の有罪判決が言い渡されました。

松本前町長「軽率な行動で迷惑をかけた」

判決のあと松本前町長は代理人の弁護士を通じてコメントを発表し「私の軽率な判断と行動で、多くの方々を巻き込み、多大なご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ございませんでした」などと謝罪しました。

小林町長「一つの区切りに」

判決を受けて、真鶴町の小林伸行町長は「町を揺るがした問題に対し司法による判断がなされ、一つの区切りとなったと捉えている。今後も、町民との信頼の上に町政が築かれることを心に刻みつつ職員一同で職務に臨んでいきたい」などとコメントしています。

事件の経緯

真鶴町の前町長が窃盗などの罪に問われた今回の事件。発覚したのは3年前の10月で、当時町長だった松本被告が選挙人名簿を町の職員の時に不正にコピーして持ち出して、自分の選挙に利用していたことが明らかになりました。

問題の責任をとるとして町長を辞職しましたが、この年の12月に行われた町長選挙に立候補し、元町長ら3人を破り、再び当選しました。

町のトップに返り咲きましたが、職員が相次いで退職するなど町政は混乱。

去年9月には町長のリコール=解職請求の賛否を問う住民投票が行われ、「賛成」が有効投票の過半数を占めて失職しました。

一方、町が刑事告発したことを受けて捜査を進めていた警察は前町長を書類送検し、横浜地方検察庁はことし5月、窃盗などの罪で在宅起訴していました。

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