政府の火山調査委員会は25日、国内111の活火山に対する現状評価を取りまとめた。活動に変化が見られるなどとし、このうち岩手山(岩手県)や焼岳(長野、岐阜両県)、桜島(鹿児島県)など8火山について今後重点的に現状評価していくことを決めた。

調査委は4月に発足した火山調査研究推進本部(火山本部)の下部組織で、評価は初。政府の統一見解として関係省庁や全国の自治体が防災対応の参考にする。

他に重点評価していくのは八幡平(岩手、秋田両県)、硫黄島(東京都)、薩摩硫黄島(鹿児島県、以下同)、口永良部島、諏訪之瀬島。年明けに予定する次回会合に向けて調査、研究データの拡充を進め、将来的に想定される噴火の規模や活動推移などを詳しく評価する。

直近1年に噴火した火山のほか、活動に変化が見られ推移の評価が必要だったり、変化が見られるものの調査研究が不十分だったりする火山を重点対象に選んだ。

岩手山については「2024年初めごろから地殻変動や地震活動が活発になっている」、焼岳は「中長期的に火山活動が高まっている」、桜島は「今後、爆発回数や降灰量の増加など噴火活動が再び活発化する可能性」とそれぞれ評価した。

八幡平は「20年ごろから見られる膨張性の地殻変動は鈍化しつつ続いている」と評価したが、データが不十分として今後拡充していく。

浅間山(群馬、長野両県)などは今後重点評価対象に加えるかどうか引き続き検討する。富士山(山梨、静岡両県)は「活動は静穏に経過している」とした。

調査委の清水洋委員長(九州大名誉教授)は記者会見し「防災上の重要度の高さや、噴火の切迫度が高いということで選んだのではない」と強調した。

調査委は、気象庁や研究機関から地殻変動などの観測データを集約して評価。これまでは気象庁長官の私的諮問機関と位置付けられた火山噴火予知連絡会が同様の評価を行っていた。〔共同〕

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