能登半島地震で被災し、全半壊した建物を自治体が所有者に代わり撤去、解体する公費解体を加速させるため、石川県は26日に県庁内にサポート窓口を開設。5月上旬までには現地調査や立ち会いなどに当たる専門職員を増員し、市町を支援する。県は来年10月に解体を完了させるため、折り返し時期の年末年始ごろまでには半数超で終えたいとしている。

石川県の馳浩知事

 馳浩知事は25日の記者会見で、公費解体を「新たなまちづくりへの出発点」と位置付け、「国とも協力し、人的・技術的な面で支えていく」と述べた。

◆着手は2.9%どまり 事前調査に課題

 県によると、4月22日時点で県内16市町で8528棟が申請済み。公費解体に着手したのは二次被害が懸念される建物を対象とした「緊急公費解体」を含め、6市町の計244棟(2.9%)。完了したのは計88棟にとどまる。県は1班当たり4~5人の班を5月以降に500~600班確保しており、目詰まりを起こしている事前調査などの早期解消を図る考えだ。  広域避難者向けに県庁の資源循環推進課内に窓口を設け、申請書類を配布するほか、制度について説明。工事に至るまでには申請後、現地調査や解体費用の算定、現地立ち会いなどが必要で、補償コンサルタント業務を行う企業を市町に割り振り、専門職員を91人から143人に増やして調整などに当たってもらう。  県は2月に災害廃棄物処理に関する計画を公表し、2万2000棟の解体実施を見込む。災害廃棄物の処理についても、ボランティアの支援を得ながら家具など「片付けごみ」の処分を進めるほか、公費解体などで生じる「解体ごみ」の処理にも注力するという。(田嶋豊) 

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