こども家庭庁は26日、親が信者の「宗教2世」への虐待を巡る実態調査結果を公表した。それによると、全国の児童相談所が把握している信仰などが理由とみられる虐待事例は計47件。このうち19件で一時保護が行われた。宗教2世からは自立や進学に向けた支援などを求める意見が寄せられ、同庁は調査結果を踏まえ、対応を検討する。

調査は、同庁の事業として三菱UFJリサーチ&コンサルティングが補助金を活用して実施。児相のほか救命救急センターが設置されている医療機関や市区町村、小中高校を対象として行われた。

児相への調査では、全国232カ所のうち、229カ所から回答を得た。2022年4月~23年9月の期間で、信仰などが理由とみられる虐待事例の有無を聞いたところ、虐待を把握していると答えた施設は37カ所(16.2%)に上った。対応した件数は47件で、このうち19件で一時保護があった。虐待の内容は「言葉や映像で恐怖をあおり、子供本人の自由な意思決定を阻害する」が最も多く、「他者の前で宗教を信仰しているとの宣言を強制する」「脅迫するなどして布教活動を強制する」などが続いた。

全国138カ所の医療機関から得た回答では、20年10月~23年9月の期間に「医療機関を受診させない。医師が必要と判断した輸血を行わせない」「輸血以外の医師が必要とした治療行為を行わせない」がそれぞれ10件あった。このほか、「がんの化学療法を行わない」など7件が確認された。

調査では今年2月、10~20代の宗教2世28人にヒアリングを実施。他者に虐待を相談しなかった理由として、「身内が全員信者で、相談できる相手や助けを求める人がいなかった」「児相に相談すると、親と子供が引き離されるイメージがあった」などが挙げられた。宗教2世らは、自立支援の拡充や一時的にでも家庭から避難できる環境、親の目が届かない相談先の整備などを求めたという。

こども家庭庁=東京都千代田区

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