目や耳が不自由な人や、寝たきりの人も学べるオンラインの「バリアフリー教養大学」を新設しようと、障害がある当事者や賛同する大学教員らが動き出した。設立準備法人のメンバーが18日、東京都千代田区の厚生労働省で記者会見し、2026年4月開学を目指し、今年10月末に文部科学省に設置認可を申請することを明らかにした。(奥野斐)

「バリアフリー教養大学」の趣旨や授業内容などについて説明する、日本社会事業大の斉藤くるみ名誉教授(左から2人目)=18日、東京・霞が関の厚生労働省で(川上智世撮影)

◆「すべての人に学ぶ機会を」

 会見には、全盲で社会福祉法人「日本ライトハウス」理事の日比野清さん、日本社会事業大名誉教授の斉藤くるみさん、名古屋大元教授の辻浩さん、ろう者で大学院生の守屋敬介さんが出席。斉藤さんは「障害のある人や働きながら学ぶ人、ヤングケアラー、ジェンダーや文化的マイノリティー(少数者)らすべての人に学ぶ機会を」と語った。

◆教員の過半数を当事者に

 構想によると、講義に手話通訳をつけるなど情報保障を充実させるほか、仕事をしながら学ぶ人などには卒業年限を長くするなどの配慮をする。教員の過半数は障害者や人種、民族、ジェンダーなどのマイノリティー当事者とすることを学則に明記する。開学が実現した際には、顧問に盲ろう者で、東京大先端科学技術研究センターの福島智特任教授が就任する予定。

「バリアフリー教養大学」の趣旨や授業内容などについて説明する、日本社会事業大の斉藤くるみ名誉教授(川上智世撮影)

 文科省によると、完全オンラインをうたう大学は「サイバー大学」(本部・福岡市)や「ビジネス・ブレークスルー大学」(同千代田区)があるが、数は把握されていない。校舎や規模に応じた教員数が必要で、初年度の運営費を用意することが求められる。斉藤さんらによると、教員や校舎の確保確保しているが、寄付は引き続き募っている。 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。