ことし7月、徳島県美馬市美馬町で、91歳の男性が自宅近くの川に「シニアカー」と呼ばれるハンドル型の電動車いすごと転落して亡くなりました。

警察や男性の家族によりますと、男性は近くにある田んぼや畑を見に行くのが日課で、シニアカーで川沿いの道を走行中に3.3メートル下にある川に転落したとみられるということです。

現場周辺にはガードレールなどはなかったことから、地元の自治会から安全対策を求める要望が上がり、美馬市は先月、川沿いのおよそ40メートルの範囲に転落を防止するためのポールを設置しました。

市は「安全対策として近くが川になっていることを見てわかるように対策をした」としています。

地元の自治会長の辺見清司さんは「地域ではシニアカーに乗る人も多く、危ないという声があった。同じような事故が起きないようにしてほしい」としています。

全国で相次ぐ「シニアカー」死亡事故 動画で注意呼びかけ

高齢者が運転免許証を返納したあとの移動手段として利用される、電動車いす・「シニアカー」。

NITE=製品評価技術基盤機構は、全国で死亡事故が相次いでいるとして、事故を再現した動画を公開して注意を呼びかけています。

NITEによりますと、2015年から去年までの9年間にシニアカーが転倒したり、踏切で脱輪したりする事故は、全国で55件確認され、25人が亡くなっているということです。

事故の主な原因では、▽側溝や川への転落が22件と最も多く、▽踏切での脱輪などが12件、▽下り坂や段差での転倒が8件などとなっています。

NITEが今月10日に注意を呼びかけるために公開した動画では、シニアカーが前から歩いてくる人を避けようと歩道の端に寄ったところ、側溝に脱輪する事故の状況が再現されています。

NITEは、側溝の近くなど脱輪や転落のおそれがある場所を走行するときは端に寄りすぎないこと、正面から人が歩いてきてハンドルを切る際は慌てず一度停止すること、クラクションを鳴らしたり、声で呼びかけたりして、できるかぎり相手に道を譲ってもらうことなどを呼びかけています。

NITEの製品安全広報課、清水与也さんは「シニアカーは足腰が弱くなった高齢者にとって便利だが、重心が少し変わることでバランスを崩すケースもある。特徴をよく理解して安全に利用してほしい」と話しています。

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