JR九州高速船が運航する福岡市と韓国 プサン(釜山)を結ぶ高速船、クイーンビートルをめぐっては、会社が船首部分の浸水を把握しながら事実を隠蔽し、3か月以上運航を続けていたことが先月明らかになりました。

国土交通省によりますと、監査を行ったところ、浸水の警報センサーが作動しないよう取り付けの位置をずらす不正が行われていたことや、安全統括管理者と運航管理者の2人が運航の継続を指示し、当時の社長がこれを認めていたことがわかったということです。

このため国土交通省は17日、海上運送法に基づき、安全統括管理者と運航管理者の解任命令のほか、対策の実施を求める安全確保命令を出しました。

現在、安全統括管理者を企画部長が、運航管理者を運航部長が務めているということです。

命令は文書で出され、国土交通省の宮武宜史海事局長から、不正の発覚後に就任したJR九州高速船の大羽健司社長に手渡されました。

2つの命令の実施期限は、いずれも来月31日となっています。

国土交通省によりますと、海上運送法に基づく解任命令が出されるのは今回が初めてだということです。

また、去年6月にもクイーンビートルをめぐってJR九州高速船に安全確保命令が出されていて、2年続けての命令も異例だということです。

JR九州高速船 大羽社長 “非常に重大だと受け止め”

国土交通省からの文書を受け取ったあと、「クイーンビートル」の運航会社であるJR九州高速船の大羽健司社長は記者団に対し「解任命令というのは、非常に重大なことだと受け止めています。安全統括管理者と運航管理者は、社長を補佐する非常に重要なポジションを占めていますが、その職務を果たせていなかった。第三者委員会の調査内容に基づいて、どのような体制がふさわしいのか、人を変えるだけではなく、どういった組織がふさわしいのかも含めて考えたい」と述べました。

JR九州 古宮社長 “グループ全社で安全を守っていく”

親会社であるJR九州の古宮洋二社長は、記者団に対し「原因を究明して、それにあった対策をやっていく。そして全社員に浸透させていく、徹底していくということがいちばん大切だと思っている」と述べました。

そのうえで古宮社長は「今回の件を受けて、もう一度グループ全体で安全を考え直すため、グループ全社に安全担当役員を置いて、全社で安全を守っていきたい」と述べ、JR九州のほかのグループ会社も含めて安全対策を強化する考えを示しました。

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