逮捕されたのは、いずれも中国残留孤児の2世などで作る準暴力団「チャイニーズドラゴン」のメンバーで、東京 北区に住む白井加次郎容疑者(50)や、住居不詳で中国籍の宋国慶容疑者(43)ら7人です。

警視庁によりますとスマートフォンの新機種、iPhone15の発売直後の去年9月下旬、東京 表参道にある「アップル」の店舗前の路上で、5日間にわたり、怒号を上げたり互いに詰め寄ったりするなど粗暴行為を繰り返し、店の業務を妨害した疑いが持たれています。

チャイニーズドラゴンの2つのグループのそれぞれ10数人から20人ほどのメンバーが、転売を目的に最新機種を買い占めようと連日集まり、列への並び方などをめぐってトラブルになったとみられるということです。

店側は、警備員を出しての警戒を余儀なくされたほか、事前予約分以外の店頭での販売を取りやめざるをえなくなったということです。

警視庁は、iPhoneの最新機種の転売による利益が、犯罪グループの資金源になっているとみて、捜査を進めています。

1年前の粗暴行為が なぜ今 事件化されたか

日本でのiPhoneの販売価格は、海外と比べて安いとされています。

警視庁は、高価格で海外でも人気の高いiPhoneの最新機種を、国内で安く購入し海外などに転売することで利益を上げている犯罪グループが存在するとみて、実態の解明を進めてきました。

事件化に踏み切った背景には、今月20日に最新機種の「iPhone16」の販売が始まるのを前に、捜査当局として取締り強化の姿勢を示すねらいもあったとみられます。

iPhoneの転売は過去にも問題になっていて、おととしには、アップルの日本法人の直営店で、転売目的が疑われる外国人客への免税販売が繰り返されていたとして、東京国税局が、アップルの日本法人に対し140億円の追徴課税を行っています。

日本のスマホは世界最安水準

IT分野の市場調査を行っている「MM総研」によりますと、iPhoneのシェアや需要が高い日本など世界38の国や地域で去年9月に実施された価格調査では、当時最新機種として発売された「iPhone15」の4つのモデルのうち3つのモデルで、日本での販売価格が最も安かったということです。

中でも高い機能を備えた「iPhone 15 Pro Max」の場合、ほかの国や地域の平均と比べ、6万円以上安く販売されていました。

MM総研の横田英明副所長は「日本のスマホ市場に占めるiPhoneのシェアは世界と比べても高く、アップルにとって重要な市場になっている。国内での販売価格はもともと低く抑えられていたが、さらにここ数年は円安が重なって最安の水準になっていた。新機種の発売直後は各国で在庫の奪い合いになるが、日本は、iPhoneの需要が高いアジア圏の国に地理的にも近く、機種の調達先として狙われやすいのではないか」と話しています。

目撃者「ものものしい雰囲気」

去年9月22日の「iPhone15」の発売当日、東京 表参道の「アップル」の店舗前で撮影された写真です。

赤色灯をつけた複数の警察車両が止まっています。

翌23日や26日に同じ店の前で撮影された映像や写真にも、大勢の警察官の姿が写っています。

23日に店の前を通りかかり、写真を撮影した20代の男性は、「店の前に並んでいる人よりも多いのではないかというくらいたくさんの警察官が集まっていて、ものものしい雰囲気でした。前日にもたくさんの警察官が集まっていたので、当時『新型iPhoneの影響はすごいな』と感じたことを覚えています」と話していました。

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