大阪府の高校授業料完全無償化制度を巡る意見交換会で、あいさつする吉村洋文知事=7月、大阪府庁

 大阪府が進める高校授業料の完全無償化制度を巡り、「公立離れ」が生じているとして公立高校側が私立高校への対抗策に乗り出している。府教育委員会は一般入試日程の前倒しを検討。私学団体は「一方的だ」と反発し、同様に繰り上げる構えを見せる。近隣府県は一連の動きを警戒。生徒の「争奪戦」過熱への懸念も出ている。  府は2024年度から、所得制限のない授業料の無償化を導入した。今春の入試で私立のみに応募した生徒の比率を表す「専願率」は31・64%。過去20年で初めて3割を超えた。一方で公立の志願者数は、現行の入試制度となった16年度以降で最少。私学人気の高まりを反映した。  公立の半数近くが定員割れした事態を踏まえ、府教委の諮問機関は8月、入試制度の改革案をまとめた。例年3月上旬の一般入試を数週間程度早め、別の時期に実施していた特別入試と一本化する内容。諮問機関は期待される効果を「高校進学までの準備期間確保」と説明するものの、志願者確保の本音が透ける。  改革案は早ければ26年度入試からの適用を目指す。


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