国の援護区域外で長崎原爆に遭い、被爆者と認定されていない「被爆体験者」44人(うち4人死亡)が、長崎県と長崎市に被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟の判決で、長崎地裁(松永晋介裁判長)は9日、原告側の一部請求を認めた。体験者の救済要望に岸田文雄首相が8月、厚生労働相に解決に向けた調整を指示しており、判決は国の対応に影響を与えそうだ。
援護区域外の救済を巡っては、広島原爆で放射性物質を含む「黒い雨」を浴びた被害者が裁判を起こし、広島高裁で2021年に全面勝訴。被爆者認定の新基準運用が翌年始まったが、長崎の体験者は対象外となり、広島と長崎で格差が生じていた。
長崎の援護区域は南北に長いいびつな形。この区域の外で、爆心地から半径12キロ圏内にいた人が体験者だ。国は放射線の影響を認めず、被爆者に比べ支援を限定している。
争点は、広島の黒い雨訴訟と同様に、被爆者援護法が定める「放射能の影響を受けるような事情があった者」に該当するかどうかだった。
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