神奈川県茅ケ崎市の市民団体「九条の会・ちがさき」は、平和をテーマにした主催イベントの後援申請を市が承認しなかったのは「行政裁量権の逸脱」として、決定の取り消しを求める訴訟を横浜地裁に起こした。(吉岡潤)  同会が「護憲的な団体」であることを理由に後援申請を不承認にされたとして、会共同代表の溝口一朗さん(73)は「意見が分かれる問題で議論を奨励するのが市の姿勢であるべきだ。堂々と憲法を語れる街を取り戻したい」と話している。

茅ヶ崎市役所

 訴状などによると、会は法政大の上西充子教授や歌手の小室等さんを招いた昨年9月のイベント「平和をねがう講演と音楽のつどい」の開催に向け、同5月に後援名義の使用を申請。市は関連要綱の「市の施策の推進に寄与する行事」に該当しないとして、同6月に不承認を決めた。  会はイベントについて「日本国憲法の精神に基づく市の平和都市宣言に合致し、要綱に記されている行事に該当する」と主張。市の決定によって「精神的な苦痛を受けた」として、会の賛同者19人に対して1人5万円ずつ支払うよう求める損害賠償請求訴訟も起こした。  イベントは以前は市の後援を得て開催していたが、2019年以降は毎年、後援申請が不承認となっているという。  会が昨年に行った行政不服審査請求では、市は弁明書で、会の申し合わせ事項に憲法9条を守る趣旨の記載があることから「いかなる場面でも護憲に向けた活動のみを行う団体であると分かる」と主張。弁明書には「(憲法の)改正推進であれ、護憲であれ、一方的な立場の意見が予想される行事は後援しない方針」とも明記し、請求を却下した。  市多様性社会推進課は取材に「訴状を見ていないのでコメントできない」とした。 

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