先の8月8日、南海トラフ地震の臨時情報(巨大地震注意)が発令された。ニッポンドットコムのフランス人スタッフが、日本に住む同郷の友人に「地震への備えはあるか」と尋ねたところ、「何もしていない。何をどうしていいか分からない」との返事だったそう。かくいう本人も、似たようなものらしい。

どう対策すればいいかさっぱり見当がつかない人は、東京都の「東京備蓄ナビ」(日・英2カ国語)にアクセスしてみよう。都民でなくても利用でき、個人を特定する情報は入力不要なので気軽に試せる。「三つの質問」に答えるだけで自分や家族に必要な3日分の備蓄品が分かり、アマゾンなどのショッピングサイトへ遷移して購入も可能。保管スペースやコストを考えると、全てそろえるのは難しいかもしれないが、目安にはなる。

●東京備蓄ナビ(東京都総務局 総合防災部防災管理課)

https://www.bichiku.metro.tokyo.lg.jp/tool/


必要な備蓄を簡単に調べられるサイト「東京備蓄ナビ」

東京都だけでなく、多くの自治体や団体が備蓄品のチェックリストを提供している。住居や職場のある地域の災害対策サイトを確認すると、その地域の気候など実情に合った情報が得られるだろう。

備蓄品の中でも、最低限確保したいのが、水と食糧だ。ガスや電気が使えなくても、栄養がとれ、なるべくおいしい物を食べられると、非常事態に耐える元気がわいてくる。

ただ、外国人にとって日本の非常食は不案内だろう。そこでニッポンドットコムでは、防災の日を前にさまざまな非常食を用意。外国語担当のスタッフに向けて試食会を実施した。


バラエティーに富んだ非常食

非常食は常温で保存できる期間が3年から5年ほどと長い。今回用意した商品のうち、最も保存期間が長いのは「フリーズドライご飯【炊き込み五目】」(永谷園)で、賞味期限は「2032年7月」とあった。


保存期間は長ければ長いほどありがたい

「白飯」(サタケ)をはじめ、ご飯物の作り方は、基本的にお湯か水をパッケージに注いで待つだけ。お湯で15分、水なら1時間程度の商品が多い。電気もガスも使えない時に、水だけで調理できるのは心強い。


「炊き込みご飯」はお湯なら3分、水でも5分と超短時間で戻る

「きな粉餅」(東京コロニー)は、水で1分戻したら添付のきな粉をまぶすだけで出来上がり。


添付のトレーに餅を並べて水を注ぐ

レトルト食品は、皿に移すだけの簡便さが利点だ。今回は「ぶり大根」「つくねと野菜の和風煮」(いずれも杉田エース)、「煮込みハンバーグ」(日本ハム)を用意した。

防災食最大手の尾西食品は、イスラム教圏の在日外国人が増えていることに対応して「ハラール認証非常食」を積極的に開発している。今回試食するのは、ハラール認証マーク付きの「ビリヤニ」と「ナシゴレン」。


パッケージにハラール認証マークが表示されている


試食会に並んだ非常食の数々

まずは「ビリヤニ」と「ナシゴレン」を口にしたアラビア語担当スタッフに、感想を聞いた。「エジプトでは非常食にデーツ(乾燥ナツメヤシ)などのドライフルーツを常備することが多い。こういうご飯はいいね。スパイシーでおいしい」(男性)。「ハラール対応の非常食を探すのは難しい。これは認証マーク付きで、安心して食べられるのがいいですね。思ったよりずっとおいしい!白いご飯は、炊飯器で炊いたのと変わりません」(女性)。


ビリヤニを味見するアラビア語担当スタッフ

ビリヤニやナシゴレンはイスラム教徒ではないスタッフからも人気が高く、「チキンライス(尾西食品)」は子供から大人まで食べやすい味だ。災害時の食事は単調になりがちだが、こうした味付けご飯は、備蓄品のラインアップに加えるとアクセントになっていい。

ご飯類はお湯で戻したほうがやはりおいしく、寒い時期は特に、食事の温かさにほっとするものだ。とはいえ、今回唯一、水で戻した「炊き込みご飯」も「食感は悪くない。非常時にこのレベルなら十分」と評価が高かった。

英語担当の米国人スタッフは「アメリカでは非常食といえばツナや豆、スープなどの缶詰がほとんど。こういうタイプの物はない。ご飯物はずっしりとおなかにたまるので、非常時に向くね」。

ロシア語担当のスタッフは「ハンバーグが特においしかった」とにっこり。ミートローフに近い食感と味わいだ。


普段使いのインスタント食品としても十分なおいしさ

和食の定番「ぶり大根」は、「ショウガが利いていておいしい」「非常用に限らず、普段使い用としても買っておきたい」という声が上がるほどの高評価だ。「つくねと野菜の和風煮」も、「よく味が染みている、ゴボウが軟らかい」と売れ行きがよい。

非常時には心も体も疲れて、甘い物が欲しくなるはず。「きな粉餅」は、「食感がわらび餅みたいでとろりとしている」「おいしい!デザートにいい」と喜ばれていた。

用意した非常食はいずれも好評で、特にお湯や水で戻すタイプの品は「自国にはない」とのこと。かつては日本も、非常食といえば乾パンだった。この進化は災害大国ならではといえるだろう。

今回試食したことで、「おいしかったから自分でも買おうと思う」という外国人スタッフもいた。日本の災害用非常食を手に取ったことがない人は、これを機に備えてみてはいかがだろうか。

撮影=ニッポンドットコム編集部

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