非常に強い台風10号の接近に伴い、和歌山県内各地では、催しの中止や早めの対策を取るなど警戒が強まっている。

 和歌山地方気象台は、29日午前9時現在の見通しとして、今後、県内に台風がかなり接近すると予想する。31日以降は暴風域を伴わない見込みだが、進路が定まらず速度も遅いため、長期の警戒を呼びかけている。

 近畿最大のマグロ漁業基地とされる那智勝浦町の勝浦港では29日、沿岸部の漁船だけでなく沖縄、宮崎、高知など各地のマグロはえ縄漁船が台風被害を避けようと岸壁に停泊していた。

 JF和歌山漁連勝浦市場長の太田直久さんによると、この日は2隻の漁船からビンチョウマグロなど計35トンの水揚げがあったという。太田さんは「9月1日にも1隻が14トンの水揚げを予定しているが、台風が居座ると入港できないかもしれない」と心配する。

 新宮市は、熊野川河口大橋で31日に予定していた開通記念イベントの工事現場見学会を中止する。予備日の9月1日を含め、雨や暴風などの影響を考慮したという。

 白浜町は、町内4カ所の海水浴場を「全面遊泳注意」にすると発表。今後の進路次第では「禁止」になることもあるという。また、ひきがわ昼市・夜市実行委員会は、町テニスコートで予定していた「昼市・夜市」を中止にした。同時開催の花火大会は9月7日午後8時に延期する。

 高野山真言宗総本山金剛峯寺(高野町)は、奥之院灯籠(とうろう)堂、金堂、根本大塔、金剛峯寺、徳川家霊台、女人堂、大師教会と高野山霊宝館で、31日の拝観を停止する。

 奥之院の参道については、樹木が倒れたり枝が落ちてきたりするおそれがあるとして「一の橋」入り口を閉鎖。30日夕からは「中の橋」入り口も閉鎖する予定という。

 県世界遺産センターは、9月1日に予定していた第1回世界遺産登録20周年記念セミナー「豊臣秀吉が辿(たど)った黒河道(くろこみち)」を中止すると発表した。

 県高校野球連盟は、31日に紀三井寺公園野球場(和歌山市)で予定していた県下高校野球新人戦の準々決勝4試合を9月2日に順延することを決めた。試合開始予定時刻に変更はない。

 橋本市は、市立小中学校全校で30日を休校にする。

 JR西日本は、30日以降、運転取りやめや長時間の運転見合わせが発生する可能性があると発表した。(大野博、勝部真一、菊地洋行、寺沢尚晃、松永和彦)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。