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  • 「不登校生動画甲子園」に220本の作品

  • 高校1年生のとき不登校に 抹茶さんは

「不登校生動画甲子園」に220本の作品

「不登校生動画甲子園」というこの動画コンテストは、不登校の子どもの支援団体などが開催し、2回目のことしは「学校に行きたくない君へ」をテーマに作品を募集したところ、220本が集まりました。

今月25日に都内で授賞式が行われ、最優秀作品に選ばれた福岡県の中学2年生の動画は、ネットで見たアート作品をきっかけに3DのCG映像の制作に打ち込むようになり、将来はクリエイターになる夢をもったという内容で「不登校だからこそ経験できることに目を向けてほしい」との思いが込められたということです。

高校1年生のとき不登校に 抹茶さんは

コンテストに参加した通信制高校3年の抹茶さん(仮名)は、高校1年生のときに不登校になりました。

幼いころから自分の気持ちを口にすることが苦手で、人間関係や勉強などで悩んでも我慢して学校に通っていましたが、ついに限界がきて学校に行けなくなりました。

ちょうど夏休みが明けたタイミングでした。

抹茶さんは「夏休み明けテストがあって、進路や成績に関わってくるものなので行かなきゃという責任感が自分の中でありましたが、気持ち的には行きたくなくて葛藤していました。大学にいって会社に就職して、という道しか知らなかったので不登校になったときは本当に自分の人生が終わったかのような錯覚に陥っていました」と打ち明けました。

学校に行けない期間は半年ほど続きましたが、通信制の高校に転校し、そこで出会った先生から「自分の好きなことをもっと大事にしていい」と言われたことで、これまでの価値観が大きく変わったといいます。

抹茶さんは「勉強や部活を頑張ったのも親の評価や周りの評価を気にしすぎた結果だったので、本当に自分にも優しくできていませんでした。もっと自分を大切にして生きることが大事なんだと思いました」と話していました。

そうした自身の経験から、今、不登校で悩んでいる人に向けて「学校に行けない自分を否定しないでほしい」という思いを込めて今回、1分ほどの動画を制作しました。

動画では、夕方の海岸で「どんな自分でも受け入れてあげてください」というメッセージが流れます。

この作品は今月25日のコンテストで佳作に選ばれました。

抹茶さん「不登校を経験しても人生終わるわけではない」

「不登校を経験したからといって人生が終わるわけではない。マイナスに捉えるのではなく今は休む時期なんだと捉えて、現状、何ができるか考え、少しでも自分のペースで行動できるようになってもらえたら」

動画コンテストに参加 新たな挑戦始めた人も

去年、初めて開催された動画コンテストに参加したことで、過去の自分と向き合い、新たな挑戦を始めた人もいます。

埼玉県で暮らす樹さん(18)(仮名)は、幼い頃から極度の人見知りで、人が多い場所や電車などが苦手でした。

学校に行こうと思っても、玄関から体が動かなくなり、小学校と中学校の合わせて10年間不登校でした。

去年、初めて開催された動画コンテストでは、それまで母親に聞けなかった「不登校の自分」について初めて質問する様子を撮影し、動画にまとめて投稿しました。

動画は、多くの親からの共感を呼び、不登校の子どもの親でつくる団体から表彰されました。

動画コンテストに参加することで初めて「不登校」と向き合い、自分の思いに気づくことができたという樹さんは「小さい頃から思い出してこなかったことを振り返り、辛かった時のことも思い出して、今も、これからもきっと辛い経験をする人がいるだろうから、その支えに少しでもなりたいと強く思うようになりました」と話していました。

そして、10年間不登校だった自分だからこそできることをしようと、去年の秋から不登校の子どもたちを支援する団体でボランティアを始めました。

毎月2日ほど朝から夕方まで不登校の子どもたちと過ごし、一緒に取り組んだことを保護者に伝えたり、次回の活動内容を考えたりしています。

樹さんをボランティアとして受け入れている団体の代表の加藤文子さんは「子どもがそっとしておいてほしいのか、一緒に活動したいのか、うまく読み取って相手の立場になれるのが不登校を経験したからだと思う」と話していました。

子どもたちと過ごす時間が長くなるにつれて、樹さんには明確な夢ができました。

それは、教師になって、より子どもたちの近くで学校に行けない悩みや苦しみに寄り添い、支えることです。

教師になる夢をかなえるために大学進学を目指して、オープンキャンパスに行ったり面接対策のセミナーを受けたりしています。

樹さんは「学校に行ってる子にしろ行ってない子にしろ、ひとりひとりを見てあげられる、小さい変化とかでも見つけてあげられるような教師になりたいです」と話していました。

動画コンテストにことしも参加した樹さん。

不登校だった自分だからこそ夢を見つけられた。

逃げてもいい、それで将来がゼロになるわけじゃない。

思いを言葉に込めて動画を作りました。

樹さん「学校へ行きたくない君へ 不登校はチャンスだよ」

「学校へ行きたくない君へ。不登校はチャンスだよ。今、好きなこと、今、幸せになれることをするといい。そうやって過ごしていると、やりたいことが次から次へと出てくるようになって、将来やりたいこともいっぱい出てきて、未来が楽しみになる」

審査委員長 中川翔子さん「自分の好きなことを大切に」

審査委員長を務めたタレントの中川翔子さんは「長かった夏休みが終わりに近づくと『また周りのみんなに合わせないといけない』と考えてしまう人もいると思いますが、学校以外の時間でやりたいことを見つけた人もたくさんいるので、無理に周りに合わせようとせず、自分の好きなことを大切にしてほしいと思います。生きていてさえくれれば必ず風が吹く日がくると伝え続けたいです」と話していました。

主催 石井志昂さん「悩みを否定せず聞くことが大切」

コンテストを主催した石井志昂さんは「保護者など周囲の人は、子どもがつらそうだと思ったらいったん学校を休ませてカウンセラーや児童精神科医などに相談して抱え込まないようにしてほしい。また、子ども自身がどうして苦しんでいるのかを否定せずに聞くことが大切だ」と話していました。

国「1人で抱え込まないで悩みや気持ち伝えて」

子どもや若者の自殺は長期休み明けの前後に増加する傾向にあり、周囲は夏休み明けにはふだん以上に子どもの心の不調に気づくためのアンテナを高めていくことが重要だとして、こども家庭庁や文部科学省、厚生労働省は、子どもや周囲の大人に向けたメッセージで呼びかけています。

メッセージでは「夏休みが明け、学校が始まりますね。何となく心がもやもやしたり、ざわついたりしていませんか。進路や友人、家族に関する悩みを抱えたりしていませんか。1人で抱え込まないで、気軽に悩みや気持ちを伝えてみてください」などとしています。

【相談窓口】

電話相談
「チャイルドライン」(18歳以下)0120ー99ー7777

「#いのちSOS」0120ー061-338

SNS相談
「生きづらびっと」https://yorisoi-chat.jp

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