広島市は世界遺産の原爆ドーム保存に向け、ドローンを活用して劣化状況を調査している。約3年に1度実施している「健全度調査」で、壁面のひび割れやモルタルの浮き、欠損を撮影して調べる。ドローン使用は今回が初めて。
原爆ドームは1915年に広島県物産陳列館として建てられた。市によると、健全度調査は92年度から始まり、今回で10回目。9月上旬までに原爆ドームの外側と内側を数千枚撮影して分析し、本年度中に調査結果を発表する。
場所により大きさの違うドローンを使い分けて撮影。小さなひび割れも精密に確認できるという。
従来は建物の周辺に足場を組み、目視で調査していた。約5カ月間足場で原爆ドームが見えにくくなり、がれきが埋まる周辺地盤に影響する恐れもあった。市は2022年、ドーム周辺でドローンの試験飛行を実施。目視に代わり有効と判断し、今回から導入した。
調査初日の26日、原爆ドームの外壁沿いを黒色のドローンがゆっくりと浮上していった。国内外の観光客が珍しそうにドローンを眺め、写真に収めていた。
広島市公園整備課の中田誠課長は「ドローン活用で、足場を組むことなく多くの人に原爆ドームを見てもらえる。写真で正確な状況を後世に残せるので歴史的価値も大きい」と話した。〔共同〕
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