ことし3月、東京のベンチャー企業「スペースワン」が開発した小型ロケット「カイロス」の初号機は、和歌山県串本町の発射場から打ち上げられましたが、直後に爆発し、打ち上げは失敗しました。

「スペースワン」は25日、記者会見を開き、爆発の原因について、ロケットの1段目の推進力を実際より高く予測してしまい、設定していた飛行範囲を外れたため、飛行を中断する措置がとられたと明らかにしました。

ロケットの推進力を予測する際、燃料のサンプルを使って燃焼速度を調べる試験を行っていましたが、その結果が実際より速く、推進力を高く見積もってしまったということです。

企業は予測を見直し、飛行範囲を改めて検討するなど課題を改善した上で、ことし12月に2号機の打ち上げを目指すとしています。

「スペースワン」の豊田正和社長は「2号機の打ち上げが成功するよう全身全霊で取り組みたい」と話していました。

初めての打ち上げは発射直後に爆発

ことし3月、初めての打ち上げに挑んだものの、発射直後に爆発し失敗した小型ロケット「カイロス」。

開発した「スペースワン」は、小型衛星の打ち上げビジネスへの参入を目指し、精密機器メーカーや建設会社などが出資し、6年前に設立されました。

そして、3年前の12月、和歌山県串本町に専用の発射場「スペースポート紀伊」を整備し、打ち上げに向けた準備を本格的に進めます。

しかし、その道のりは順調ではありませんでした。

新型コロナウイルスの感染拡大によって部品調達の遅れなどが生じ、初号機の打ち上げは当初の予定からあわせて4回延期。

その後、部品調達のめどがたち、ことし3月9日に打ち上げられる予定でしたが、その当日、警戒区域内の海に船がいたため、安全を確保できないとして、打ち上げは直前で延期されました。

そのため、警戒にあたる船を増やすなどの対策を取り、4日後の3月13日、初の打ち上げに挑みました。

初号機には政府の小型衛星が搭載され、衛星の軌道への投入が成功すれば、民間単独の打ち上げとしては国内で初めてとなるため、注目を集めていました。

しかし、打ち上げ直後に爆発し、打ち上げは失敗。

発射場では爆発した機体の破片が落下し、一時、火災も発生しました。

打ち上げ後の記者会見で「スペースワン」の遠藤守取締役は「小型衛星の打ち上げ市場への参入は若干遅れるかもしれないが、世界的に見てもまだまだ競争できると考えている」と話していました。

企業は飛行データを分析するなどして、爆発の原因究明を行うとともに、2号機の打ち上げに向けた準備を進めています。

そして、低いコストで人工衛星を宇宙に届ける「宇宙宅配便」を目指し、2030年代には年間30回、ロケットを打ち上げる計画だとしています。

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