自治体の水道経営の支援などを行う「EYJapan」などの研究グループは、将来の水道料金の変動を3年ごとに試算していて、24日に最新の結果を公表しました。

試算では、2021年度の全国1243の水道事業者のデータや将来の人口の推計をもとに、25年後の2046年に経営が赤字にならないために必要な水道料金を計算しました。

それによりますと、値上げが必要な事業者の数は、前回の試算から2ポイント増加して96%に達し、料金の値上げ率は、全国平均で48%となりました。

特に人口減少率が高かったり、人口密度が低かったりする自治体で値上げ率が高くなる傾向がみられ、料金の格差は現在の8倍から、2046年には20.4倍に広がると推計されました。

研究グループでは、地域間の格差だけでなく、値上げ率が上昇することにより、世代間の格差も広がるおそれがあるとして、水道事業を維持するための経営改革の実現や、利用者に料金について説明し理解を求めるなど、具体的な取り組みを進める必要があるとしています。

専門家「先送りにするほど将来の値上げ率は大きく」

水道行政に詳しい東京大学大学院工学系研究科の滝沢智教授は「長年のデフレで物価が上がらない中で、水道料金の値上げを提案しづらい時代が続いた。人件費の削減などでしのいできた事業者が限界を迎え、いよいよ経営の課題と向き合わなければいけない」と指摘しています。

そのうえで、「先送りにすればするほど、将来の値上げ率は大きくなり、負の遺産を残すことになる。事業者は料金体系について定期的に議論して必要な値上げを検討するほか、更新する施設を絞るなど、効率化をはかることも重要だ。水道事業のあり方を自治体や事業者、住民がともに考えていかなければならない」と話しています。

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