2023年4月の東京都江東区長選を巡る公職選挙法違反事件で、同法違反(買収など)の罪に問われた前区長、木村弥生被告(58)の論告求刑公判が24日、東京地裁であった。検察側は「政治と金の問題による政治不信に拍車をかけた」として、懲役1年6月を求刑。弁護側は情状酌量を求めた。判決は6月14日に言い渡される。

検察側は論告で、柿沢未途前衆院議員(53)=同法違反罪で執行猶予付きの有罪判決=と共謀して選挙期間中に約37万円で掲載した有料インターネット広告について、前区長自身が出演するなど「犯行に積極的に関わり主導的役割を果たした」と強調した。

木村前区長は区長選での支援の報酬として元区議の板津道也被告(54)=同法違反罪で公判中=に現金100万円を提供したとされる。検察側は「選挙運動は資金力の差に影響されないよう無報酬で行う原則だが、その趣旨を真っ向から踏みにじる最も悪質な類型の犯罪だ」と断じた。

弁護側はネット広告の掲載は柿沢前議員の提案で、提供した現金は少額だったなどとして「悪質性は低い」と指摘。木村氏は最終意見陳述で「改めて江東区民や職員に心からおわびする。今後は現場近くで社会の役に立てるよう再スタートを切りたい」などと述べた。

木村氏はこれまでの公判で起訴内容を認めていた。事件では前区長や柿沢前議員のほか区議らを含む計9人が立件された。

東京高検は柿沢前議員の有罪判決が確定したことを受け、木村氏に連座制を適用し、区長選への立候補を5年間禁止するよう求める行政訴訟を起こしている。

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