岡山市で西田真愛(まお)ちゃん(死亡当時6歳)が虐待を受けて死亡した事件で、逮捕監禁致死と強要の罪に問われた母親の西田彩被告(36)の裁判員裁判の初公判が20日、岡山地裁で始まった。西田被告は「私には親としての責任があり、子どもを守れなかったのは事実です。自ら率先してやったわけではありません」と述べ、起訴内容の一部を否認した。弁護側は、いずれの罪も幇助(ほうじょ)にとどまると主張した。

 起訴状によると、西田被告は2021年9月10~25日、交際相手だった船橋誠二受刑者(41)=逮捕監禁致死や強要などの罪で懲役14年が確定=と共謀し、自宅で真愛ちゃんを椅子の上に置いた鍋の中に長時間たたせ、指を口に押し込ませるといった暴行を加えて嘔吐(おうと)などを繰り返し強要。同25日には、真愛ちゃんに布団を巻き付けて約1時間半放置し、翌22年1月12日に低酸素脳症で死亡させたとされる。

 船橋受刑者に対する昨年10月の岡山地裁判決は、西田被告との共謀を認定していた。船橋受刑者の公判には、西田被告も証人として出廷し、真愛ちゃんへの虐待を止めなかった理由を問われ、「当時は精神が崩壊していた」と述べていた。この日の西田被告の初公判で、弁護側は「(船橋受刑者の犯行を容易にする)幇助にとどまり、共同正犯としての責任を負うとは考えていない」などと述べ、争う姿勢を示した。

 真愛ちゃんをめぐっては、事件前の19年3月以降、虐待を疑う通告がたびたび市に寄せられていた。事件の発覚後、市の対応を検証していた有識者会議は、虐待リスクの評価の甘さや関係機関との連携不足を指摘。人員の見直しなどを求めた。

 市は今年4月までに児童相談所の職員を事件当時より13人増やし、うち1人を現役の警察官とすることで、警察との連携強化を図るなどした。一時保護所の夜間対応の職員数は、現在は日によって2~4人と異なるが、常時4人にすることも検討している。(北村浩貴、水田道雄)

■事件の経緯

<2019年>

3月 岡山市に「養育状況が心配」との通告

4月 児相に「男から女児へ暴力か」との通告

<2020年>

9月 真愛ちゃんが全裸で墓地に立たされる。児相が一時保護。2週間後に解除

<2021年>

8月 児相が家庭訪問。真愛ちゃんと会えず

9月10~25日 鍋の中などに立たせるといった虐待

   25日 布団を巻き付ける虐待

<2022年>

1月12日 真愛ちゃんが低酸素脳症で死亡

2月9日 強要容疑で2人を逮捕。その後、逮捕監禁致死容疑で再逮捕

<2023年>

10月 船橋受刑者に懲役14年の判決。その後確定

<2024年>

8月20日 西田被告の初公判

※県警や市児相への取材、起訴状などによる

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