一帯に梅園が広がり、「にほんの里100選」に数えられる愛知県新城市の川売地区で、伝統の味として親しまれた各農家の自家製梅干しが危機にひんしている。農家の高齢化に、漬物製造業を許可制とした食品衛生法改正が追い打ちをかけ、販売が困難に。同県豊橋市の大江晃正さん(48)は「昔ながらの梅干しを次世代へつなぎたい」と再興に奮起する。  川売では大半の住民が梅畑を所有する。大江さんの親族もかつては栽培し、梅干し製造をしていたが、高齢となり畑は放置されていた。大江さんが親族の梅畑を継いだきっかけは3年前、指定難病の潰瘍性大腸炎と診断されたことだった。原因を探る中、腸内環境を乱す可能性のある農薬や添加物を避け、自身で無農薬野菜の栽培を始めた。  営業の壁となったのが2021年施行の改正食品衛生法だ。厳しく衛生管理された施設を整備した業者しか販売を許可されず、一般的な家庭の設備では基準を満たさず多くの梅農家が施設改修を余儀なくされた。


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