大阪府学校教育審議会は府立高校の入試日程の前倒しを求める答申案を示した(16日、大阪市天王寺区)

大阪府教育委員会の諮問機関、府学校教育審議会は16日、府立高校の入試日程の前倒しを求める答申案を公表した。私立高校の入試日程に近づけ、少子化や私立高の授業料無償化の影響で減少する府立高の志願者を確保する狙い。府教委は8月中に答申を受け取り、早ければ2026年度入試から導入する。

答申案は例年3月10日前後に実施する一般選抜入試を「数週間程度早めることが望ましい」とした。現在、2月中旬に実施している一部学科の特別選抜入試との一本化などの検討が必要だと指摘した。

一本化に合わせて、受験機会を確保するために複数校を志願する仕組みも提案。第1志望が不合格になっても、第2志望の高校の合否判定を受けられるようにする。

各校が求める人材を優先的に合格させる「アドミッションポリシー選抜枠」(仮称)の導入も盛り込んだ。部活動や課外活動の成績など、各校が学力検査以外で独自に選抜資料を設定できるようにし、府立高の多様化につなげる。

府は府内に住む生徒を対象に私立高授業料の完全無償化を目指す。24年度から段階的に所得制限を撤廃し、26年度までに全学年に適用する。

今春の私立高入試では無償化などの影響で専願が過去20年で初めて3割を超えた一方、府内の145の全日制府立高のうち70校が定員割れした。府条例では3年連続で定員割れした府立高について、改善が見込めない場合は統廃合の対象になると定められており、志願者確保が課題となっている。

入試日程の前倒しについては、学校関係者から「教育課程を早く終わらせる必要が生じる」「受験終了から高校入学まで約1カ月の空白期間が生まれる」などの懸念の声も上がっている。

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