自民党派閥の政治資金規正法違反事件で、同法違反(虚偽記入)罪に問われた安倍派(清和政策研究会)の会計責任者、松本淳一郎被告(76)の論告求刑公判が9日、東京地裁であった。検察側は禁錮3年を求刑した。
安倍派では長年、派閥が開く政治資金パーティー券収入のノルマ超過分を所属議員側に還流していた。派閥、議員双方が政治資金収支報告書に計上しない運用を続けていた。
検察側はこれまでの公判で、松本被告が前任者から還流や不記載の運用を引き継ぎ、継続していたなどと指摘した。
松本被告は起訴内容を大筋で認めているが、所属議員が派閥に納めず手元でプールしたノルマ超過分の一部は「認識していなかった」として不記載額を争っている。
2022年春には当時の派閥会長だった安倍晋三元首相が還流を中止する方針をいったん決めたが、同年夏の安倍元首相の死去後に方針が撤回された。松本被告は被告人質問で「ある幹部から再開してほしいと頼まれた」と明かしたものの、検察側から幹部の名前を問われると、「本人もおっしゃらないので差し控える」と明らかにしなかった。
起訴状によると、松本被告は18〜22年の派閥の収支報告書について、約6億7千万円分の収入と支出をそれぞれ記載しなかったとされる。
一連の事件では派閥側は会計責任者のみが起訴された。7月には二階派(志帥会)で会計責任者を務めた永井等被告(70)の論告求刑公判があり、検察側は禁錮2年を求刑した。
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