西九州新幹線の武雄温泉駅で、地震の影響で止まった列車の運行再開を待つ人たち(8日午後、佐賀県武雄市)=共同

南海トラフ地震の臨時情報「巨大地震注意」が初めて発表され、これから本格化するお盆休みは地震への備えを求められる。帰省や行楽での移動が10日からピークを迎える一方、東海道新幹線や特急、在来線の一部が速度を落とすなど交通機関にも影響が出ている。専門家らは旅先の避難場所を事前に確かめるよう呼びかけている。

臨時情報を受け、JR東海は東海道新幹線の区間のうち、南海トラフ巨大地震の際に最大震度7の揺れが想定される三島―三河安城間の速度を落として運転すると発表した。1週間程度は継続する。

9日は少なくとも各列車10分以上の遅れが見込まれる。帰省ラッシュのピークは10日。お盆期間は運行する列車の本数が多く、遅れがさらに広がる可能性がある。旅行などの計画を変更する場合、手数料なしで予約の変更や払い戻しに対応する。

JR東海は特急「南紀」や寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」などを1週間程度運休する。JR東日本は当面の間、東海道線(大磯―熱海間)と伊東線(熱海―伊東間)、中央線(大月―茅野間)の上下線で速度を落とし走らせる。

小田急電鉄も当面の間、本厚木ー小田原間で速度を時速10〜30キロほど落として運行する。「南海トラフ地震が発生した場合、揺れの到達前に安全に停車できるよう速度を設定している」と説明した。

日本航空は8日に宮崎県で最大震度6弱を観測した地震の影響で九州を発着する6便が欠航したものの、9日朝時点で臨時情報による影響はない。全日本空輸も同様にお盆休み期間への影響は出ていない。

気象庁は8日、有識者検討会を開き臨時情報「巨大地震注意」を初めて発表した。「想定震源域で巨大地震の発生可能性が平常時の数倍程度になっている」と説明し、日常生活を続けながら1週間程度は地震への備えを再確認するよう求めた。

お盆休みで帰省や行楽を予定する人が多い点について、有識者検討会の平田直会長(東京大名誉教授)は8日の記者会見で、津波警報が出た場合の避難場所や経路を確めるよう呼びかけた。「個人的な考えだが、それができていれば夏休みに海水浴をしても問題ない」とした。

大阪管区気象台は「特別な対応を求めることではない。出かける場所を確認し、地震があった時にどう対応するかを考えてもらいたい」と説明。旅行先のホテルの避難経路や津波発生時の浸水のハザードマップを確認するよう呼びかけた。

東北大災害科学国際研究所の福島洋准教授(地震学)は「日ごろからの地震や津波への備えができているかをいま一度確認する必要がある。帰省時には地震の可能性を考慮し、現地の避難所の場所を事前に調べてもらいたい」と指摘する。

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