海外への不正な現金持ち出しを防ぐため、紙幣の臭いを嗅ぎ分ける財務省の紙幣探知犬が8日、千葉県の成田空港に国内で初めて導入された。出国審査場で警戒し、詐欺などで得られた犯罪収益が海外に持ち出されるのを水際で、鼻で食い止める。

◆メスのラブラドルレトリバー2頭

国内で初導入された紙幣探知犬の検査風景=8日、成田空港で(平野皓士朗撮影)

 デビューしたのはいずれも6歳のメスでラブラドルレトリバーの「ライラックス」と「トリ」。2頭は麻薬探知犬として2020年6月から活躍。紙幣の臭いを嗅ぎ分ける訓練を1カ月ほど積み、海外への出国者数がピークになるお盆に合わせて新任務に就いた。  デモンストレーションで2頭は、出国者に扮(ふん)して審査場に並ぶ税関職員の足元を歩き回り、紙幣を詰めたスーツケースを特定。お座りしてハンドラーの職員に伝えた。新紙幣を含め、流通している日本の紙幣をすべて嗅ぎ分けるという。

国内で初導入された紙幣探知犬の検査風景=8日、成田空港で(平野皓士朗撮影)

 東京税関によると、100万円超の現金を国外に持ち出す場合は事前申告が必要。近年は犯罪収益などを他国へ移すマネーロンダリング(資金洗浄)や脱税への対策が求められている。東京税関の上田健二監視部長は「水際での取り締まり強化に努める」と話した。(堀場達) 

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