SNSを利用した投資詐欺の件数が増える中、被害を未然に防いだとして、広島県警安佐南署は22日、もみじ銀行緑井支店(安佐南区緑井2丁目)の世良真巨人(まこと)支店長(47)に感謝状を贈呈した。
「投資をしたいので振り込みたい」。3月18日午前、同支店の窓口を広島市安佐南区の70代の男性が訪れた。対応したのは、パート職員の武田千穂さん(56)。話を聞くと、振込金額は200万円だという。
「詐欺かも……」 ピンときたポイントは
武田さんは、違和感を覚えた。振込先に指定されているのが、一般企業の名前だったからだ。インターネットで調べると、確かに実在している会社のようだったが、企業の口座に直接、投資のお金を振り込むことは、通常あり得ない。
「詐欺かもしれない」。ピンときた武田さんは上司に相談し、警察を呼ぶことにした。
安佐南署によると、男性は著名な実業家が投資について教えてくれるというLINEグループに入っていた。送金の指示があり、初めて振り込みをするところだったという。
男性が「振り込みを止められている。詐欺じゃない証明をしてほしい」とLINEで相手にメッセージを送ると、専門用語のような言葉を多用した返信がきたという。武田さんは男性に「警察に話して、安心してから振り込みましょう」と声をかけ、思いとどまらせた。「手口は巧妙だと感じました。お客様の預金を守ることができて何よりです」
感謝状を受け取った世良支店長は、「より気を引き締めて業務にあたりたい」と話した。同銀行では、高齢者による窓口での高額の引き出しや振り込みには注意を喚起するなどして、詐欺被害を防止しているという。
県警生活安全総務課によると、2024年のSNS型投資詐欺被害の認知件数は2月末までで28件、被害額は約3億1千万円にのぼる。担当者は「安易なもうけ話に流されず、投資は信頼できる機関を通してほしい」としている。(根本快)
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