神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で患者の死亡が相次いだ問題で、明石市の70代男性が亡くなった事例の院内調査の結果報告書について、遺族らの弁護団が7月31日、会見を開き「不十分な点が多数あり、調査が尽くされていない」と述べた。

 今後、第三者である医療事故調査・支援センターによる調査の実施を求めていく予定という。

 弁護団によると、男性は昨年1月、救急搬送された神戸徳洲会病院で急性心筋梗塞(こうそく)と診断され、カテーテル治療を受けた後に心停止するなどし、約7時間後に死亡した。

 今年3月18日付で病院側がまとめた結果報告書では、死因は偶発的に起きた心破裂とされ、「救命できなかった可能性が高いと考えられる」とした。

 一方で報告書は、血圧などのバイタルサインの記録が欠落していたことや、主治医の高圧的な態度に看護師らが恐怖心を抱き、「急変時の対応に支障をきたしていたことは否めない」などの問題点も記していた。

 弁護団は「経過記録を細かく取っていれば早い段階で何らかの処置ができ、助かった可能性もあったのではないか」と主張。主治医と看護師の関係性についても十分な調査や聞き取りがなされていない、と批判した。

 病院では、循環器内科の医師のカテーテル治療を受けた複数の患者が死亡していたことが昨年判明。市は今年2月に医療法に基づき、病院を運営する医療法人徳洲会に改善措置命令を出した。病院側は改善計画書を提出し、4月に受理されていた。

 さらに病院側は6月、糖尿病の既往歴の見落としで必要な治療を受けられずに亡くなった70代男性と、カテーテル治療を受けた後に死亡した90代女性について、医療過誤があったと認めた。(原晟也)

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