2023年に押収された覚醒剤は前年比3倍の1978キロで、「極めて深刻な状況」(財務省関税局)となっている。1件の摘発で押収量が多い大口事案が目立つという。

 発送元は件数ベースで、北米38%、アジア26%、中南米11%、中東10%、欧州10%、アフリカ6%と、各地に分散。手口も巧妙化しているという。

 2024年に入っても、メキシコから横浜港に2月末に到着したコンテナ船から531キロの覚醒剤が押収された。横浜税関としては過去最大の押収量となった。だが、押収しただけでは再発の芽を残したままになる。

 横浜の事件では神奈川県警や海上保安庁、横浜税関などが「泳がせ捜査」を決行し、日本、メキシコ、コロンビアの各国籍の男らの逮捕につなげた。

 違法薬物の捜査では、水際の検査で覚醒剤を発見しても、見た目や重さが似た岩塩などの偽物にすり替えて密輸の取引を継続させる「クリーン・コントロールド・デリバリー(CCD)」と呼ばれる手法が一般的だ。ただ、密輸グループに怪しまれる可能性もあり、組織解明に向け、本物の覚醒剤を使う「ライブ」という手法を選択した。

 捜査関係者によると、逮捕者の中には指定暴力団稲川会系組織と関係が深い人物がおり、日本の暴力団とメキシコの麻薬組織などが関与したとみて捜査を進めている。

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