東京電力福島第1原発の現場では、今も平日で1日約4000人が働いている。猛暑の中のフル装備での作業は厳しい。
原発事故後の13年余りはあっという間に過ぎた。ずっと何かに追われているような感じだった。この間、風呂場で鏡を見たら、白髪がすごいし、俺、年取ったなーと思った。事故後、新たな業者が大量に入ってきて、イチエフ(福島第1原発)で働き続けることができるか不安な時期もあった。でも避難でばらばらになった従業員も戻り、仕事もようやく安定してきた。若手も育ち、仕事を任せられるヤツもいて頼もしい。 あとは新たに人を入れたいが、これがなかなか難しい。今は手続きが大変で放射線教育以外にもいくつも講習があり、いろいろな書類もそろえなきゃならず、登録にはかなり時間がかかる。その間も会社が給料を出せればいいが厳しい。だから事前にいつから雇用となり、給料が出るのか説明してから来てもらう。 登録後、現場に出て数日で「辞めたい」って言ったやつもいたな。事故前に住んでいた地域の避難指示が解除されて、高齢の両親と戻ってきたというから、何とかしてやりたいと思った。働き盛りなのに「つらいんで」とか言うから、「来たばっかりだろう。頑張れよ」ってハッパかけたけど、サボってばかりで駄目だった。賠償金をもらっていたときは働かず、その後仕事についても短期で転々としていた。賠償金で生き方が狂っちゃったのかもしれない。賠償金なんて、いつか終わると分かっていたのに。 廃炉までは長い。根性のある若手に入ってきてほしい。(聞き手・片山夏子) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。