原子力規制委員会は31日、審査チームが原子炉建屋直下に活断層がある可能性があるとして新規制基準に適合しないと判断した日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県敦賀市)について、原電の村松衛社長に8月2日に意見聴取することを決めた。村松社長は結論を覆すため追加調査する考えを示すが、規制委は同日にも新基準に不適合とする審査書案の取りまとめに入る。

日本原子力発電敦賀原発2号機。右上はK断層の調査部分=7月26日、福井県敦賀市で、本社ヘリ「まなづる」から

 31日の定例会合では、審査チームの結論が報告され、委員から異論は出なかった。原電は、村松社長が規制委の場で意見を述べる機会を求めており、規制委は村松社長から意見聴取することを決めた。追加調査の具体的な内容などを尋ねるとしている。

◆「結論を覆す説明がすぐ出るとは考えられない」

 山中伸介委員長は定例会後の記者会見で「結論を覆す説明が短期間で早急に出てくるとは考えられない。当日の意見を聞いた上で、すぐさま判断したい」と述べ、審査チームの結論を尊重する方針を示した。  審査は申請から9年近くかかり、原電のデータ書き換え発覚などによる中断をはさみ、昨年9月に再開。規制委は、原電が再提出した申請書で判断を示す考えを示していた。

◆審査チームは原電の主張を否定

 議論の焦点となった敷地内の「K断層」について、原電は活断層ではなく、建屋直下まで延びていないと主張したのに対し、審査チームは「科学的な根拠が示されていない」などとしていずれも否定した。新基準では、原子炉などの重要施設を活断層の上に設置することを認めていない。規制委が正式に決定すると、初の不適合となり、2号機は再稼働できない。(山下葉月、渡辺聖子) 

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