旧優生保護法(旧法、1948~96)の下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、西スミ子さん(77)=東京都=が国に損害賠償を求めた訴訟は、東京地裁で31日、和解が成立した。原告側弁護団が明らかにした。和解は、国が和解金として1650万円を支払う内容という。

 旧法を違憲として国の賠償責任を認めた7月3日の最高裁判決後、和解成立は初めて。各地で続く同様の訴訟は今後、和解が進むとみられる。

 訴状などによると、西さんは生後まもなく、はしかにかかり脳性まひで手足に障害が残った。14歳になる年に、入所していた医療施設で「生理がなくなる手術がある」と言われ、子宮摘出の手術を受けさせられた。

 西さんは和解成立を受け「今日はとてもうれしい。みなさまのおかげです。一生懸命また生きていこうと思っています」と語った。

 最高裁判決を受け、岸田文雄首相は7月17日、原告らと面会し謝罪。係争中の訴訟について、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用を求めてきた国の主張を取り下げる考えを表明した。原告らの高齢化をふまえ、和解のための合意書締結などを急ぐよう、担当大臣に指示していた。(米田優人)

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