第2次世界大戦末期の夏、松の木に米兵が落ちてきた――。大阪府豊中市に伝わる事件を描いた絵本「パラシュートと松の木」が28日、発行され、朗読会が開かれた。地域の歴史を発掘し記録する市民らが、5年ほどかけ完成させた。

 「1945年7月30日の晴れた日曜日の午後1時ごろの出来事です」

 地元で生まれ育った元アナウンサーの平嶋規佐子さん(82)が、朗読を始めた。

 豊中市岡町の上空を飛んでいた米軍の戦闘機1機が、日本軍の高射砲に撃たれ墜落。戦闘機から脱出した米兵が、白いパラシュートで降下して風に流され、松の木に引っかかったという。米兵は捕虜となった後、死亡したとされている。

 当時を知る12人の証言をもとに、「豊中に平和と人権に関する資料館を求める会」が絵本を制作。絵は元小学校教員の大口彰子さん(80)、文は元市職員の山東健さん(79)が担当した。

 松の木の近くに住んでいた金岡道子さん(89)は「争いごとは『ペン』と『話し合い』で解決すべきです。戦争のなき未来を願うばかりです」とメッセージを寄せた。

 絵本に関する問い合わせは山東さん(090・3275・9521)まで。(花房吾早子)

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