この10年で志願者が4割減となっている警視庁は、首都の治安を守る仕事の魅力を知ってもらおうと26日、東京都府中市の警察学校で体験イベントを開いた。警視庁の人材確保にも、少子化の波が押し寄せているという。高校生や大学生ら約120人が参加し、現役の警察官が実際の訓練の様子を披露した。

 各国要人を警護するSPによる実演では、警護対象者が乗った車を2台が囲み、柔軟に車列を変えながら、接近する一般車から警護対象の車両を守ってみせた。要人が車を降り、出迎える聴衆に近づこうとした際の周辺警護の様子も再現した。

 要人警護をめぐっては近年、安倍晋三元首相や岸田文雄首相が襲撃される事件が起きたほか、今月には米国のトランプ前大統領への銃撃など、世界各地で事件が起きている。担当者は、「一瞬で国民生活を不安に陥れるテロから世界の要人を守るSPの仕事には、使命感と充実感がある」と熱く語った。

 警護のほか、白バイ部隊やレスキュー部隊、航空隊のヘリコプター部隊も、本番さながらの訓練を披露した。

 栃木県小山市の大学4年の慶野那碧さん(21)は「訓練を間近で見て、働きたいという気持ちが強くなった」と振り返った。大学で少年の犯罪心理を学んでいる。「学んだ内容をいかして新宿・歌舞伎町の『トー横』問題などに取り組みたいと思っていたが、今日の実演を見てSPもいいなと思った」と話した。

 警視庁によると、2014年度は約1万6千人だった採用試験の受験者数は、23年度は約9700人と4割減少した。元国浩・警察学校副校長は「少子化など労働人口の減少が最大の要因。活躍する職員の姿をみて、警視庁の魅力を感じてもらいたい」と語った。夏季の採用試験は8月13日から申し込みを受け付けるという。(比嘉展玖)

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