ラットの肝臓表面に移植したiPS肝臓(中央の白く見える部分、研究チーム提供)

 人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)からつくった人工肝臓を、肝硬変のラットの肝臓表面に移植したところ症状が改善したとの研究成果を、東京大や横浜市立大のチームが24日付の米科学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」に発表した。人工肝臓が持つ炎症を抑える作用が、改善につながっていた。  肝硬変は、肝臓移植以外に根本的な治療法がなく、移植に代わる治療法の開発が急務となっている。チームの田所友美・横浜市立大助教(臓器再生医学)は「これまでとは違う戦略の治療法を開発できるかもしれない」と話した。  チームは、薬物で人為的に肝硬変状態にしたラットの肝臓の表面に、ラットの胎児の肝臓を移植すると症状が改善することを発見。そこで人のiPS細胞から、胎児の肝臓を再現した人工臓器をつくる技術を確立し、肝硬変のラットに移植した。すると肝機能が回復し、生存率も高くなった。  iPS細胞などを培養してつくる人工臓器は「オルガノイド」と呼ばれ、研究や治療での利用が期待されている。


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