北海道内では23日夜から24日にかけて、北部を中心に記録的な大雨となった。この影響で、札幌管区気象台は24日午前11時10分に、深川市多度志付近で雨竜川が氾濫(はんらん)したとして、直ちに安全確保が必要とされる「警戒レベル5相当」を発表した。
氾濫した地域は、深川市と沼田町の境界付近。流域には田んぼとソバ畑が広がる。田園地帯に恵みをもたらす雨竜川だが、24日は水位が上昇、濁った水が勢いよく流れた。濁流は堤防がない低い場所からあふれ、穂を付けたばかりの稲をのみ込んだ。
沼田町で農業を営む男性(71)は「近年、大雨による農業被害が増えてきた。浸水した稲はダメだろう。泥がついた稲は減収だけでなく農機も傷めるので困った」と、話した。
和寒町西和地区では午前7時45分ごろ、土砂崩れが起きていると住民から町に連絡があった。十五線川の左岸が高さ約50メートル、幅40メートル以上にわたって崩れ、川をせき止めた。あふれた水で牧草地が水田のようになった。
町によると、約800メートル下流の一人暮らしの高齢女性が市街地の公共施設に避難した。カボチャや大豆、キャベツなどの畑も浸水した地域があり、今後、被害状況をまとめていく。
町の担当者は「こんなことは初めて」と言う。
気象台によると、低気圧が通過する際、南から暖かく湿った空気が流れこみ、大気の状態が不安定になったという。上川、留萌地方では記録的な大雨となり、24時間降水量は、旭川市江丹別で206.5ミリ、比布町比布で172ミリと観測史上最大を記録した。
道のまとめ(24日午後4時現在)では、人的被害はないが、床上浸水1件、床下浸水7件が報告された。鷹栖町では、倉庫や工場など33件の被害が報告されている。
洪水や土砂災害への警戒のため、空知、上川、留萌地方の5市町の2749世帯(6734人)には避難指示が出された。避難所は2市7町で26カ所開設され、最大117人が避難した。公立の小中高校、計3校が休校となった。
交通機関にも影響が出た。JR北海道によると、函館線の深川―旭川、石北線の旭川―遠軽で、一時運転を見合わせた。旭川発着の列車を中心に、特急14本、快速・普通41本の合計55本が運休となり、3600人に影響が出た。
東日本高速道路(NEXCO東日本)によると、道央自動車道は雨量が基準値を超えたため、士別剣淵―旭川鷹栖の両インター間が最大12時間50分にわたって通行止めとなった。国土交通省北海道開発局のまとめでは、国道239号の霧立峠(幌加内町添牛内―苫前町東川)など、国道は4路線で一時通行止めとなった。
気象台によると、雨のピークは過ぎたが、上流部で大雨となった雨竜川流域では、しばらくの間、増水などに警戒が必要だという。道内では、29日ごろに再び前線が北上し、低気圧の発生と重なって大雨となる可能性があり、警戒が必要だという。
北海道内は前線を伴う低気圧の通過で24日午前まで、道北を中心に激しい雨が降った。この大雨の影響で深川市多度志で24日午前、雨竜川が氾濫(はんらん)。左岸から河川があふれた。札幌管区気象台は、緊急安全確保が必要な「警戒レベル5相当」として、注意を呼びかけている。
深川市によると、氾濫による住民や住宅への被害は確認されていない。田畑が冠水しているという情報があるという。市は多度志小学校と幌成コミュニティセンターを避難所とし、多度志地区の計276世帯558人に避難指示を出した。
札幌管区気象台によると雨竜川流域では23日夜から24日午前にかけ、計111ミリの雨量を観測。気象台は流域の深川市、秩父別町、沼田町、妹背牛町では浸水のおそれがあるとして警戒を呼びかけている。
秩父別町役場によると、雨竜川が氾濫(はんらん)した影響で、同町滝上地区の水田の一部で浸水被害が出ている。人的被害は報告されていないという。
大雨の影響で、鉄道にも影響が出ている。JR北海道によると、24日午前10時45分現在、函館線の深川~旭川間では、河川の増水で鉄橋が通過できない状態だという。石北線の旭川~遠軽間では降水量が基準値を超えたため、24日午後1時半ごろまで運転を見合わせる予定。
このほか、旭川発着の列車を中心に、特急40本、快速・普通26本が運休を決めている。(佐々木洋輔、松田昌也)
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